外国人採用のメリット・デメリット|中小企業が導入前に知るべき負担と失敗の防ぎ方
公開日 2026年11月4日更新日 2026年11月4日

外国人を雇う事業所は2025年10月末時点で371,215所あり、そのうち63.1%は従業員30人未満の事業所です。外国人採用は、人手が足りない業務を担う人や、専門知識・語学を持つ人を迎えられる一方で、在留資格の確認・届出・支援・更新といった、日本人の採用には無い仕事が増えます。導入を決める前に、メリットと受け入れ体制の負担を同じ表に並べて比べることが大切です。
この記事では、2026年11月4日時点で公表されている厚生労働省・出入国在留管理庁の統計と指針をもとに、メリットとデメリットを整理します。紹介した数字は、それぞれの資料の時点の値です。
数字で見る外国人雇用:労働者257万人、雇う事業所の6割超が30人未満
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況(2025年10月末時点、2026年1月30日公表)では、外国人労働者は2,571,037人でした。前年の2,302,587人から268,450人(11.7%)増えています。外国人を雇う事業所は371,215所で、前年の342,087所から29,128所(8.5%)増えました。
| 項目 | 2024年10月末 | 2025年10月末 |
|---|---|---|
| 外国人労働者数 | 2,302,587人 | 2,571,037人 |
| 外国人を雇う事業所数 | 342,087所 | 371,215所 |
| 雇う事業所のうち30人未満の割合 | ― | 63.1% |
| 外国人労働者のうち30人未満の事業所で働く人の割合 | ― | 36.1% |
出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」概要版・本文
事業所の規模で見ると、外国人を雇う事業所は「30人未満」が最も多く、事業所数全体の63.1%です。30人未満の事業所は前年から9.6%増え、規模別で最も大きい増加率でした。産業別では、外国人労働者は「製造業」が全体の24.7%で最も多く、前年からの増加率は「医療、福祉」が25.6%でした。
在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が最も多く、全体の33.7%を占めます。この区分には、技術・人文知識・国際業務(技人国)や特定技能などが含まれます。
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点)から。事業主からの届出を集計した数。
出入国在留管理庁の統計では、2026年6月末の在留外国人は428万1,026人で、過去最高を更新しました。在留資格別では、技術・人文知識・国際業務が516,184人、特定技能が444,256人です。
メリット:制度が想定している3つの効果
外国人採用のメリットは、在留資格ごとに制度が何を目的にしているかで整理すると、根拠をもって説明できます。
出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年9月29日更新)、厚生労働省「外国人雇用管理指針」(令和8年10月1日改正)
長く働いてもらう道がある
在留資格によっては、長く働き続けてもらう道があります。技人国の在留期間は5年・3年・1年・3月のどれかで、在留期間の更新の許可を受ければ、引き続き働けます。特定技能2号は、在留期間の更新回数に制限がなく、要件を満たせば配偶者と子の帯同もできます。
一方で、特定技能1号の在留期間は通算で上限5年です(相当の理由がある場合は6年)。家族の帯同は基本的に認められていません。1号で受け入れる場合は、5年の後をどうするかまで含めて計画する必要があります。
デメリット:受け入れ体制の仕事が採用後も続く
外国人採用で増える負担の多くは、採用の時点で終わりません。入社のとき、在留期間の更新のとき、離職のときにも、決められた確認と手続きがあります。主な仕事を、対象とあわせて並べます。
| 仕事 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 在留資格の確認 | 外国人を雇うすべての事業主 | 採用前に、任せる業務が在留資格で認められているかを確かめる。認められない人は採用しない |
| 外国人雇用状況の届出 | 外国人を雇うすべての事業主 | 雇い入れと離職のたびに、氏名・在留資格・在留期間などをハローワークに届け出る |
| 労働条件の明示と説明 | 外国人を雇うすべての事業主 | 書面で明示し、母国語や平易な日本語など本人が理解できる方法で示すよう努める |
| 在留期間の更新の支援 | 在留期間に期限がある人 | 更新の手続きのための勤務時間の配慮などに努める。更新には手数料がかかる |
| 雇用労務責任者の選任 | 外国人を常時10人以上雇う事業主 | 人事課長などを、外国人の雇用管理の責任者として選ぶ |
| 支援計画の作成と実施 | 特定技能1号を受け入れる企業 | 事前ガイダンスや定期的な面談など10項目の支援。登録支援機関に委託できる |
| 入管への届出 | 特定技能を受け入れる企業 | 雇用契約の変更・終了などの随時の届出と、毎年の定期の届出 |
出典:厚生労働省「外国人雇用管理指針」(令和8年10月1日改正)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年9月29日更新)
費用は採用のときだけでなく、毎年かかる
費用も、採用のときの一時費用だけではありません。特定技能1号の支援を登録支援機関に委託すれば、受け入れている間は委託料がかかります。在留期間の更新の手数料は2026年10月1日に改定され、許可される在留期間に応じて窓口申請で10,000円〜75,000円になりました(1年の許可で33,000円)。費目ごとの決まり方と見積もりの比べ方は「外国人採用の費用の内訳と見積もりの比べ方」で整理しています。
国の助成金に、外国人労働者の職場定着のための環境整備を助成する人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)があります。採用の費用を補う仕組みではなく、審査もあります。詳しくは「外国人雇用の助成金は最大25万円」をご覧ください。
特定技能1号は、5年の後まで計画が要る
出入国在留管理庁は、特定技能の受け入れを始めた初期に1号を許可された人の、2026年1月23日現在の在留状況を公表しています(速報値)。2019年の在留者1,625人のうち、2号に移った人は185人(11.4%)でした。最も多かったのは「出国等」の1,177人(72.4%)です。2020年の在留者14,366人では、2号が2,056人(14.3%)、出国等が9,328人(64.9%)でした。
出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年9月29日更新)から。出国した後に別の在留資格で入国した人は、在留中としては数えていない。
この数字は出国の理由を示すものではなく、会社を辞めた人の割合でもありません。ただ、1号のまま受け入れ続けられる期間には上限があります。長く働いてもらいたい場合は、2号の試験や、ほかの在留資格への変更の道を早めに本人と話し合うのが現実的です。分野ごとの受け入れ見込数や1社あたりの人数枠は「特定技能の受け入れ人数に上限はある?」で整理しています。
失敗しやすい3つのパターンと防ぎ方
厚生労働省の外国人雇用管理指針と、出入国在留管理庁・厚生労働省の資料から、受け入れでつまずきやすい点を3つにまとめます。どれも、指針や法令で事業主に求められていることを、採用前に仕組みにしておけば防ぎやすいものです。
1. 在留資格で認められない仕事をさせてしまう
在留資格ごとに、従事できる活動が決まっています。指針は、採用前に、任せる業務が在留資格上認められているかを確認し、認められない人は採用してはならないとしています。永住者・定住者など身分に基づく在留資格の人は、活動に制限がありません。
事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせた者には、入管法第73条の2の不法就労助長罪が定められています。2026年11月時点の条文では、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、またはその両方です。在留資格に応じた活動に当たらないことを知らなかったとしても、過失があれば処罰を免れません。育成就労制度の創設などを定めた改正法(令和6年法律第60号)により、2027年4月1日から、5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、またはその両方に引き上げられます。施行日は政令で定められています。
防ぎ方は、在留カードの確認と、任せる業務の書き出しをセットにすることです。指針は、在留カードで確認するときは、本人の同意を得て、出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーションでICチップの情報と券面を照らし合わせることが適切としています。特定技能の人は、在留カードに加えて、特定産業分野が書かれた指定書も確認します。
2. 労働条件が伝わらないまま働き始める
指針は、募集の段階から、業務の内容・契約期間・就業の場所・労働時間・賃金などを書面で明示するよう求めています。その際は、母国語や平易な日本語など、本人が理解できる方法で示すよう努めることとされています。海外に住む人を募集するときは、入国後の食い違いによるトラブルを防ぐため、渡航・帰国の旅費の負担の有無や割合、住居の確保などを先に明確にするよう努めることとされています。
賃金については、計算と支払いの方法だけでなく、税金、雇用保険・社会保険の保険料、労使協定による控除も説明し、実際に支給される額が分かるようにするよう努めることとされています。国籍を理由に、賃金・労働時間などの労働条件で差別的な扱いをしてはいけません。
労働基準監督署などは、2025年に、労働基準関係法令の違反が疑われる、特定技能外国人を使用する8,082事業場に監督指導を行いました。そのうち6,179事業場(76.5%)で違反が見つかっています。違反が疑われる事業場を選んだ監督の結果なので、外国人を雇う事業場全体の違反率ではありません。
厚生労働省(令和8年9月15日公表)の別紙2から。監督指導を行った8,082事業場に占める割合。違反が疑われる事業場への監督の結果。
防ぎ方は、日本人と同じ労務管理を、本人に伝わる形で行うことです。指針が挙げるモデル労働条件通知書やモデル就業規則を使い、賃金の控除まで含めて母国語などで説明しておくと、入社後の食い違いを減らせると考えられます。特定技能では、報酬の額が、同じ業務に就く日本人の報酬の額と同等以上であることが求められます。
3. 入社後の届出・支援が回らない
外国人を雇い入れたとき、また離職したときは、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です。届出をしない、または虚偽の届出をした場合は、罰則が適用され得ます。期限は、雇用保険の被保険者かどうかで違います。
特定技能の受け入れ企業は、入管にも届出をします。雇用契約の変更や終了、支援計画の変更などの随時の届出と、受け入れ・活動・支援の状況の定期の届出です。届出の不履行や虚偽の届出は、罰則の対象です。重大・悪質な法令違反などがあると、改善命令や、受け入れの基準を満たさない「欠格事由」に当たることがあります。
- 雇い入れの翌月10日まで外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者)雇用保険の資格取得届とあわせてハローワークへ。被保険者でない人は翌月の末日まで
- 雇用契約などが変わったとき入管への随時の届出(特定技能)雇用契約の変更・終了・新たな締結、支援計画の変更、登録支援機関との委託契約の締結・変更・終了など
- 毎年4月1日〜5月31日入管への定期の届出(特定技能)前年4月1日から3月31日までの受け入れ・活動・支援の状況。報酬の支払状況や受け入れに要した費用の額なども含む
- 在留期間の満了前在留期間の更新の申請手続きのための勤務時間の配慮などに努める。更新の手数料は許可される在留期間で決まる
- 離職の翌日から10日以内外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者)雇用保険の資格喪失届とあわせて。被保険者でない人は翌月の末日まで
厚生労働省「外国人雇用管理指針」(令和8年10月1日改正)、出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(令和8年9月29日更新)から。
防ぎ方は、担当者と年間の予定を、採用の前に決めておくことです。特定技能1号の支援は、登録支援機関に全部または一部を委託できます。全部を委託した場合は、受け入れ企業が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。どの依頼先が何を担えるかは「登録支援機関・監理団体・人材紹介・求人メディアの違い」で比べています。
導入を決めるまでの手順
メリットとデメリットは、会社ごとに大きさが違います。次の順で書き出すと、自社にとっての損得を比べやすくなります。
- 1任せたい業務を書き出す人手が足りない業務、専門知識・語学が要る業務を、職種と仕事の中身まで具体的に書く
- 2業務に合う在留資格を確かめる特定技能の分野・業務区分か、技人国の対象の業務かなど。判断に迷う業務は窓口や専門家に確かめる
- 3受け入れ体制の担当を決める届出・在留期限の管理・相談の窓口を担う人。特定技能1号なら、支援を自社で行うか委託するか
- 4費用を1人あたりの年額にする採用の一時費用と、委託料・更新の手数料など2年目以降の費用を分けて見積もる
- 5何年働いてもらうかを決める特定技能1号の通算上限5年の後をどうするか。2号や他の在留資格への変更の道も含めて考える
よくある誤解
- 外国人を雇えば、人件費を抑えられますか。
- いいえ。国籍を理由に賃金などの労働条件で差別的な扱いをしてはいけません。特定技能では、報酬の額が同じ業務に就く日本人と同等以上であることが求められます。
- 在留カードで在留資格を見れば、どんな仕事でも任せられますか。
- いいえ。在留資格ごとに従事できる活動が決まっています。任せる業務が在留資格で認められるかまで確かめる必要があります。身分に基づく在留資格(永住者・定住者など)は活動に制限がありません。
- 外国人雇用は、大企業が中心ですか。
- 2025年10月末時点で、外国人を雇う事業所の63.1%は30人未満の規模です。前年からの増加率も、30人未満の事業所が9.6%で最も大きくなっています。
- 届出はハローワークに出せば終わりですか。
- ハローワークへの届出は、雇い入れと離職のたびに必要です。特定技能の場合は、これとは別に入管への随時・定期の届出があります。
導入の前に自社で確かめること
- 任せたい業務を、職種と仕事の中身まで書き出した
- その業務が、採用を考えている在留資格で認められるかを確かめた
- 在留カード(特定技能は指定書も)の確認の手順と、確認する担当者を決めた
- 労働条件と賃金の控除を、本人が理解できる言葉で説明する資料を用意した
- ハローワークへの外国人雇用状況の届出の期限を把握した
- 在留期限と更新の手続き、更新の手数料を見込んだ
- 特定技能1号の場合、支援を自社で行うか登録支援機関に委託するかを決めた
- 採用の一時費用と、2年目以降の年額を分けて見積もった
- 外国人を常時10人以上雇う見込みなら、雇用労務責任者を決めた
在留資格の該当性や特定技能の手続きは地方出入国在留管理官署、外国人雇用状況の届出や雇用管理はハローワーク、労働条件は労働基準監督署が窓口です。自社の業務がどの在留資格に当てはまるかなど、個別の判断は、行政書士・社会保険労務士などの専門家や、窓口に確かめてください。
外国人採用を始めるときは
メリットを生かせるかどうかは、どの在留資格の人に、どの業務を任せるかと、受け入れ体制の準備で決まります。採用の方法を選ぶときは、費用の形とあわせて、在留資格の申請や入社後のフォローを誰が担うかも比べるとよいでしょう。
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出典・参考
- 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)(厚生労働省、令和8年1月30日公表)
- 「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和7年10月末時点)(厚生労働省)
- 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和7年10月末時点)(厚生労働省)
- 令和8年6月末における在留外国人数について(出入国在留管理庁)
- 外国人労働者に関する制度概要(令和8年9月29日更新、出入国在留管理庁)
- 外国人の雇用(厚生労働省)
- 外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針 全文(令和8年10月1日改正、厚生労働省)
- 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁)
- 特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年10月、出入国在留管理庁)
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」(出入国在留管理庁)
- 在留期間更新許可申請(出入国在留管理庁)
- 外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場に対して行った令和7年の監督指導、送検等の状況を公表します(厚生労働省、令和8年9月15日)
- (別紙2)特定技能外国人を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況(令和7年)(厚生労働省)
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)(厚生労働省)
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック(令和8年10月1日現在)(厚生労働省)
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)
- 改正法の概要(育成就労制度の創設等)(出入国在留管理庁)
- 令和6年入管法等改正について(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法(令和9年4月1日施行版、e-Gov法令検索)


