費用・助成金

外国人雇用の助成金は最大25万円|2026年10月改正の要件と受給までの期間を図解

公開日 2026年10月27日更新日 2026年10月27日

外国人雇用の助成金、最大25万円の条件、2026年10月改正と書かれた記事のカバー

外国人を雇う企業が使える国の助成金に、厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」があります。2026年10月1日以降に計画を出す場合、受給要件をすべて満たすと20万円です。一時帰国のための休暇制度を設け、実際に取得させると25万円になります。採用したときに出るものではなく、定着の環境づくりへの助成で、受給までに長い期間がかかります。

この記事では、2026年10月26日時点の厚生労働省の資料をもとに、制度の仕組みを図で整理します。あわせて、取り組むかどうかを判断するための見方をまとめます。

この助成金は「採用」ではなく「定着の環境づくり」への助成

外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などの知識の不足や言語の違いなどから、労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあります。この助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に支給されます。

厚生労働省の「対象者別雇用関係助成金一覧」で、「外国人労働者」の欄に載っているのはこのコースだけです。ほかの助成金を外国人社員に使えるかどうかは、それぞれの要件しだいです。たとえば人材開発支援助成金は、職業訓練などを計画に沿って実施した場合などに使えます。対象は、雇用する労働者に職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための訓練です。訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などが助成されます。

助成金とは別に、厚生労働省は「外国人雇用管理アドバイザー」を置いています。外国人労働者の雇用管理や職業生活上の問題などについて、無料で相談・支援を受けられます。

どんな企業が対象になるか

雇用保険の被保険者となる外国人労働者を雇用している事業主が対象です。特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の人は、ここでいう外国人労働者から除かれます。

あわせて、次のような要件もあります。

  • 労働施策総合推進法に基づく外国人雇用状況届出を、適正に届け出ていること
  • 過去にこのコースを受給した場合は、最後の支給決定日の翌日から3年が経過していること
  • すべての事業所で、雇用保険の被保険者である労働者(日本人を含む)を解雇等していないこと。期間は、計画期間の初日の前日から6か月前の日から計画期間の末日までです。解雇等には、会社都合の解雇のほか退職勧奨なども含まれます

このほかにも、雇用関係助成金に共通の要件など、いくつかの受給要件があります。

計画が終わった後の6か月にも要件がある

計画期間の末日の翌日から6か月間を「離職率算定期間」といいます。この期間について、次の要件を満たす必要があります。

  • 外国人労働者の離職率が15%以下であること。離職率算定期間の初日に外国人労働者が2人以上6人以下の場合は、離職者が1人以下であること
  • 離職率算定期間の末日まで、続けて雇用している外国人労働者が1人以上いること。ただし、定年退職や、在留期間の上限を満了して帰国したことなどで0人になった場合は、要件を満たすものとされます

何をすれば支給されるか:必須の2つと上乗せの1つ

認定を受けた就労環境整備計画に基づいて、次の措置を導入・実施します。①と②は必須で、③を加えると上乗せになります。

助成金の対象になる3つの措置。1 雇用労務責任者の選任、2 就業規則などの多言語化、3 一時帰国の休暇制度。1と2で20万円、3も実施すると25万円
図解①②は必須で、③の休暇制度を設けて実際に取得させると25万円になります(2026年10月1日以降に計画を出す場合)。拡大して見る ↗

① 雇用労務責任者の選任

雇用労務責任者は、外国人労働者の就労環境の整備や、苦情・相談への対応などを管理する担当者です。次の4つをすべて満たす必要があります。

  • 外国人が働く事業所ごとに選任し、氏名と、その人が苦情・相談に応じることを外国人労働者に周知する
  • 外国人労働者と3か月ごとに1回以上の面談を行う。テレビ電話でもよく、結果は書面にまとめる
  • 法令違反を受けたときに相談できる、労働基準監督署などの関係行政機関の案内を周知する
  • 「外国人労働者雇用労務責任者講習」を、計画期間の末日までに受講する

面談は、計画期間の初日から離職率算定期間の末日まで、すべての外国人労働者と続けます。

② 就業規則・社内マニュアル等の多言語化

多言語化するのは次の3つで、それぞれ1種類以上が必要です。多言語化したものは外国人労働者に周知します。

  • 就業規則または労働協約
  • 労働条件通知書または雇用契約書
  • 社内マニュアル

③ 一時帰国のための休暇制度(上乗せ)

外国人労働者が一時帰国を希望したときに、必要な有給休暇を取得できる制度を新たに定めます。そのうえで、1年間に1回以上、連続した5日以上の有給休暇を取得させます。この有給休暇は、労働基準法第39条の年次有給休暇とは別に与えるものです。制度は就業規則または労働協約に明文化します。支給申請の日にも、この休暇制度を続けて運用している必要があります。

外国人労働者の都合で、計画期間内に取得した人がいなかった場合、③の分は支給されません。①と②が完了していれば、20万円の支給になります。

支給額は定額:20万円か25万円

実施した措置 支給額
① と ② 20万円
① と ② に加えて ③(休暇を実際に取得) 25万円

出典:厚生労働省のリーフレット(令和8年10月1日版)、ガイドブック(令和8年10月1日現在)

支給は事業主(企業)単位で、事業所ごとに支給されるものではありません。予算の範囲内で支給され、厳正な審査があります。確認項目が多いため、支給の可否が決まるまでに時間がかかる場合があります。

受給までの期間:計画の提出から支給申請まで1年8か月の例

この助成金で最も見落とされやすいのが時間です。厚生労働省のガイドブックには、次の例が載っています。

受給までの流れの例。1 計画を提出 2026年10月、2 計画期間 1年、3 離職率の確認 6か月、4 支給申請 2028年6〜7月
図解厚生労働省のガイドブックの例です。2026年10月1日に計画を出し、計画期間を2026年12月1日〜2027年11月30日とした場合、離職率算定期間は2027年12月1日〜2028年5月31日、支給申請期間は2028年6月1日〜7月31日です。申請期間を過ぎると支給されません。拡大して見る ↗

計画期間は3か月以上1年以内で決められます。最短の3か月にした場合も、次の期間を足すと、支給申請ができるまで少なくとも10か月ほどかかる計算です。

  • 計画の提出から計画期間の初日まで:1か月以上
  • 計画期間:3か月
  • 離職率算定期間:6か月

申請の後の審査にも、時間がかかる場合があります。なお、計画期間が3か月でも、面談は最低3回(計画期間中1回、離職率算定期間中2回)必要です。

申請の流れ:計画の提出から支給まで5段階

申請の流れ(2026年10月1日以降に計画を出す場合)
  1. 1
    就労環境整備計画を作成・提出する計画期間の初日の6か月前〜1か月前本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ。計画は審査され、適正と認められると認定される
  2. 2
    就労環境整備措置を導入する③の休暇制度は就業規則または労働協約に明文化する
  3. 3
    就労環境整備措置を実施する計画期間(3か月以上1年以内)計画どおりに実施する
  4. 4
    支給申請をする計画期間の末日の翌日から6か月経過した日の翌日から2か月以内本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ
  5. 5
    審査を経て支給される

要件を満たせなくなりやすいところ

支給を受けるには、計画から支給申請まですべての要件を満たし、審査を通る必要があります。手続きの途中で、次の点を見落としやすいと考えられます。

  • 申請期間を過ぎる:申請期間が過ぎてから申請した事業主には支給されません。郵送の場合は、期限までに届くように出す必要があります
  • 計画と違うことをする:認定された計画に変更が生じるときは、変更の認定申請が必要です。変更書を出さずに計画と違う措置を行うと、原則として支給の対象になりません
  • 退職予定の人だけを対象にする:計画期間内に退職が予定されている外国人労働者だけを対象にする措置は、支給対象になりません
  • 離職率算定期間の面談を忘れる:面談は計画期間が終わった後も、離職率算定期間の末日まで続けます
  • 休暇を取得させないまま終わる:③は、取得者がいないと上乗せの分が支給されません

2026年10月1日の改正で変わったこと

厚生労働省は、2026年(令和8年)10月1日に支給要領の一部を改正しました。主な改正内容は次のとおりです。

  • 支給額を最大25万円に変更
  • 「苦情・相談体制の整備」を廃止し、雇用労務責任者による苦情・相談対応を要件にした
  • 雇用労務責任者と外国人労働者の面談を、離職率算定期間を含めて3か月ごとに1回以上行うことを要件にした
  • 外国人労働者雇用労務責任者講習の受講を要件にした
  • 就業規則等と社内マニュアル・標識類等の多言語化を統合し、3種類をそれぞれ1種類以上多言語化することを要件にした
  • 講習の受講証明書を出した場合に離職率の要件を免除する規定を廃止した

支給額の決め方は、これまでにも変わっています。

支給額の上限の比較(資料の版ごと)
令和5年4月1日版72万円賃金要件を満たすと支給対象経費の2/3(満たさないと1/2・上限57万円)
令和8年4月1日版80万円1つの措置の導入ごとに20万円
令和8年10月1日版25万円①②で20万円、③を加えると25万円

決め方が版ごとに違うため、上限額どおりに支給されるとは限らない。どの版が使われるかは、計画を提出した日で決まる。

どの版の要件が使われるかは、就労環境整備計画を提出した日で決まります。これから計画を出す場合は、最新の資料を確認してください。

よくある誤解

外国人を採用すれば、助成金を受け取れますか。
いいえ。計画の認定を受け、措置を導入・実施し、離職率算定期間の要件などを満たしたうえで、審査を経て支給されます。
最大72万円もらえると聞きました。
72万円は、令和5年4月1日版などの以前の資料に載っていた上限額です。2026年10月1日以降に計画を出す場合の支給額は、最大25万円です。
一時帰国の休暇に、年次有給休暇を充ててもよいですか。
いいえ。上乗せの対象になる休暇は、労働基準法の年次有給休暇とは別に与える有給休暇です。
多言語化は翻訳会社に頼まないといけませんか。
いいえ。外国人労働者の母国語などのほか、平易な(やさしい)日本語で書くことも多言語化に含まれます。

取り組む前に自社で確かめること

取り組む前のチェックリスト
  • 雇用保険に入っている外国人社員がいる(特別永住者、在留資格「外交」「公用」の人を除く)
  • 外国人雇用状況届出を適正に出している
  • 過去にこのコースを受給していない、または最後の支給決定日の翌日から3年が経っている
  • 計画期間の初日の前日から6か月前の日以降、すべての事業所で解雇等(会社都合の解雇や退職勧奨など)をしていない
  • 外国人が働く事業所ごとに雇用労務責任者を選び、3か月ごとの面談と記録を、離職率算定期間の末日まで続けられる
  • 就業規則・労働条件通知書・社内マニュアルを、母国語ややさしい日本語にできる
  • 計画期間の後の6か月間、外国人労働者の離職率を15%以下(2〜6人なら離職者1人以下)に保てる見込みがある
  • 計画期間の初日の1か月前までに計画を出せる

自社が対象になるか、どの版の要件が使われるかなど、個別の判断が必要な点は、最寄りの都道府県労働局(職業安定部 職業対策課・助成金センター)や、社会保険労務士などの専門家に確かめてください。

助成金とあわせて採用の費用を抑えるには

この助成金は、外国人社員が長く働ける環境づくりを後押しする制度です。採用そのものにかかる費用の内訳と見積もりの比べ方は「外国人採用の費用の内訳と見積もりの比べ方」で整理しています。採用の費用を抑えたい場合は、求人の掲載に費用がかからない方法を選ぶのも一つの手です。

Jobal(ジョバル)は、特定技能・技術・人文知識・国際業務(技人国)に特化した外国人材の求人メディアです。掲載料・初期費用は0円で、採用が決まったときにだけ成功報酬がかかります。在留資格の申請のサポートと入社後のフォローも無料です。外国人採用について、まずはお気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。

出典・参考

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