在留資格・制度

特定技能と技能実習の違いを企業目線で整理|どちらで採用すべきか【育成就労への移行対応】

公開日 2026年11月4日更新日 2026年11月4日

特定技能と技能実習、企業目線の違いと選び方、2026年版と書かれた記事のカバー

特定技能と技能実習は、どちらも外国人が現場で働く制度ですが、目的がまったく違います。技能実習は技能を移して国際協力を進める制度で、特定技能は人手不足の分野で即戦力を受け入れる制度です。この違いが、転職の可否・受け入れ人数枠・費用の形・手続きの主体の違いにつながります。さらに2027年4月1日には、技能実習に代わって育成就労制度が始まります。

この記事では、2026年11月4日時点の出入国在留管理庁(入管庁)の資料と法令をもとに、2つの制度の違いを企業の判断に必要な項目に絞って整理します。

違いの出発点は「制度の目的」

技能実習法は、技能実習の目的を「人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力」の推進としています。そのうえで、技能実習は「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定めています。

特定技能は、生産性の向上や国内の人材確保に取り組んでもなお人材を確保することが難しい分野に限り、一定の専門性・技能を持ち即戦力となる外国人を受け入れる制度です。2019年4月に始まりました。

入管庁のQ&Aでも、技能実習2号と特定技能1号の活動は目的が違い、技能水準や活動の形態にも違いがあるため、従事する業務は異なるものになると説明されています。

3つの制度の目的と在留期間(2026年11月4日時点)
技能実習技能移転による国際協力1号1年以内・2号2年以内・3号2年以内で、合計で最長5年。入国時の試験はない(介護職種だけ日本語の要件がある)2027年4月から新規の受け入れは経過措置の範囲だけ
特定技能1号人手不足分野の即戦力通算で上限5年(相当の理由があると認められる場合は6年)。技能と日本語を試験等で確かめる(技能実習2号を良好に修了した人は免除)2019年4月から
育成就労人手不足分野での人材育成と人材確保通算3年で、特定技能1号の水準の人材を育てる。修了時の試験に不合格の場合は、一定の要件の下で最長1年の延長がある2027年4月1日から

比較表:雇用形態・転職・人数・費用・手続き

企業の判断に関わる項目を、入管庁の制度比較の資料をもとに並べると次のとおりです。

項目 技能実習(団体監理型) 特定技能1号
雇用の形 実習実施者と雇用関係を結ぶ(入国1年目から雇用関係のある在留資格) 受け入れ機関と雇用契約を結ぶ。フルタイムで、複数の会社で働くことはできない。派遣は農業・漁業だけ
転籍・転職 原則不可。実習実施者の倒産などやむを得ない場合や、2号から3号への移行時は転籍できる 同一の業務区分内、または試験で技能水準の共通性が確認されている業務区分間で転職できる
受け入れ人数枠 常勤職員の総数に応じた枠がある 原則なし(介護分野・建設分野を除く)
外国人との出会い方 通常、監理団体と送出機関を通して行う 企業が直接海外で採用活動をするか、国内外のあっせん機関などを通じて採用できる
外部の関与 監理団体(主務大臣の許可制)が監査などの監理を行う 支援は受け入れ機関の義務。登録支援機関(出入国在留管理庁長官の登録制)に委託できる
手続きの主体 実習生ごとに技能実習計画を作り、認定を受ける。団体監理型では監理団体の指導に基づいて作る 受け入れ機関が在留資格の申請をする。在留諸申請の前に分野ごとの協議会の構成員になる
費用の形 監理団体に払う監理費(種類は省令で決まっている。実習生に負担させない) 自社で支援するか、登録支援機関への委託料(入管法令上の上限なし)。支援の費用は本人に負担させない

出典:外国人労働者に関する制度概要(令和8年9月29日更新)P4・P7・P9、技能実習法3条・8条・28条、技能実習法施行規則14条・37条、特定技能制度に関するQ&A(Q5・Q13・Q14・Q33・Q72・Q76)、入管法19条の22・19条の23

転職:特定技能は「選ばれ続ける」前提で考える

技能実習では、実習先を変えることは原則としてできません。例外は、実習実施者の倒産などやむを得ない場合と、2号から3号へ移るときです。

特定技能では、同じ業務区分の中や、試験で技能水準の共通性が確認されている業務区分の間で転職できます。受け入れ機関や分野を変えるときは、本人が在留資格「特定技能」の変更許可を申請します。特定技能の雇用契約が満了しても、再雇用や転職で新しい契約を結べば、在留期間の範囲内で引き続き在留が認められます。

受け入れ人数:技能実習は常勤職員数で枠が決まる

技能実習には、実習実施者の常勤職員の総数に応じた受け入れ人数枠があります。団体監理型の基本の枠(第1号技能実習生の数)は、技能実習法施行規則で次のように決まっています。

常勤職員の総数 第1号技能実習生の数
30人以下 3人
31〜40人 4人
41〜50人 5人
51〜100人 6人
101〜200人 10人
201〜300人 15人
301人以上 常勤職員の総数の20分の1

出典:技能実習法施行規則16条1項2号(2026年11月4日時点の条文)

この数は常勤職員の総数を超えられません。第2号技能実習生は表の数の2倍までです。常勤職員の数には、外国にある事業所の常勤職員と技能実習生を含めません。優良な実習実施者で、監理団体が一般監理事業の許可を受けている場合は枠が広がります。特定の職種・作業については、告示で別の数を定めることができるとされています。

特定技能には、原則として受け入れ機関ごとの人数枠がありません。ただし介護(事業所ごと)と建設(受け入れ機関ごと)には枠があり、分野全体の受入れ見込数もあります。くわしくは「特定技能の受け入れ人数に上限はある?」で整理しています。

費用:払う相手と名目が違う

技能実習(団体監理型)では、監理団体に監理費を払います。監理団体は監理費以外の手数料や報酬を受け取れず、監理費の種類は省令で決まっています。監理費を直接・間接に実習生に負担させないことも、計画の認定の基準です。

特定技能1号では、義務的な支援を自社で行えば委託料はかかりません。登録支援機関に委託する場合の委託料は、入管法令上の上限がなく、契約で決めます。どちらの場合も、支援にかかる費用を本人に負担させることは認められていません。人材紹介会社を使う場合は、別に紹介の手数料がかかります。

費用の内訳と合計の出し方は「外国人採用にかかる費用」で、依頼先ごとの役割と費用の形は「登録支援機関・監理団体・人材紹介・求人メディアの違い」で比べています。

介護分野で比べるとき

介護は、両方の制度で受け入れられる分野です。主な違いは次のとおりです。

項目 技能実習(介護職種) 特定技能1号(介護分野)
入国時の要件 技能の試験はない。日本語能力の要件がある 介護技能評価試験と、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)、介護日本語評価試験の合格など
試験の免除 - 介護職種の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除される。介護以外の職種を修了した人は、介護日本語評価試験は免除されない
その先の在留資格 - 特定技能2号の受け入れはない。熟練した人材は、介護福祉士の資格を持つ人として在留資格「介護」で在留できる

出典:外国人労働者に関する制度概要(令和8年9月29日更新)P9、分野別要領別冊(介護分野、令和7年4月21日一部改正)

特定技能1号の介護分野には、事業所ごとに「日本人等の常勤の介護職員の総数」までという人数枠があります。技能実習生は「日本人等」に含まれません。技能実習の介護職種の人数枠は、監理団体や外国人技能実習機構に確かめてください。

介護で技能実習生を受け入れている施設は、介護職種の2号を良好に修了した人に、特定技能1号で働き続けてもらう道があります。その場合は技能と日本語の試験が免除されます。

2027年4月1日から:技能実習は育成就労へ

入管法等の一部改正法(令和6年法律第60号)により、技能実習制度を発展的に解消し、育成就労制度が創設されました。育成就労制度の運用開始と、特定技能制度の適正化の施行日は2027年4月1日です。

育成就労は、人手不足の分野で、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準の人材を育てる制度です。技能実習と違い、目的は人材育成と人材確保です。

技能実習から育成就労への切り替えの日程
  1. 2026年4月15日
    監理支援機関の許可の施行日前申請の受付開始外国人技能実習機構で受け付けている
  2. 2026年9月1日
    育成就労計画の認定の施行日前申請の受付開始外国人技能実習機構で受け付けている
  3. 2027年3月31日
    技能実習計画の認定の申請期限(経過措置)施行後に技能実習を始めるには、この日までの申請が要る
  4. 2027年4月1日
    育成就労制度の運用開始・特定技能制度の適正化の施行育成就労外国人を受け入れられるのはこの日から
  5. 2027年6月30日
    経過措置で技能実習を始める期限(原則)

出典:育成就労制度Q&A(Q3・Q7・Q46)。2026年11月4日時点。

いま受け入れている技能実習生はどうなるか

施行後も、次の技能実習生は原則として認定された計画に基づいて技能実習を続けられます。

  • 2027年4月1日の時点で、すでに来日している技能実習生
  • 2027年3月31日までに技能実習計画の認定の申請がされ、2027年6月30日までに技能実習を始める技能実習生

このうち1号の技能実習生は、施行後も2号へ移れます。3号へ移れるのは、2027年4月1日の時点で2号の活動を1年以上行っている人です。

育成就労の開始後も、当分の間は、技能実習2号を良好に修了し、従事する業務と2号の職種・作業に関連性が認められる人は、特定技能1号へ移行できます。良好に修了したとは、計画に従って2年10か月以上修了していることをいいます。

育成就労では何が変わるか

技能実習と比べた育成就労の主な違い
転籍本人の意向による転籍を一定の条件で認める同じ業務区分内に限る。分野ごとに1年以上2年以下で決める転籍制限期間を超えていること、技能と日本語の水準を満たしていることなどが条件
計画1号〜3号の区分がないはじめから通算3年の計画を作り、認定を受ける
人数枠常勤職員数に応じた枠は残る1年目から3年目の合計で枠を決める。経過措置の1号・2号の技能実習生も数に含める
監理監理団体は監理支援機関へ監理団体が育成就労の業務を行うには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要がある

本人の意向で転籍する場合は、転籍先が優良な育成就労実施者であること、転籍先が転籍元に一定の金額を払うことなども条件になります。民間の職業紹介事業者による紹介を受けた転籍は、本人意向の転籍の条件を満たしません。

育成就労から特定技能1号へ移るには、技能の試験と日本語能力の試験(A2.2相当以上。JFT-BasicのA2.2相当、JLPTのN4など)の合格が必要です。技能実習2号の良好修了者のような試験の免除はありません。

特定技能の側でも、同じ2027年4月1日から、支援を外部に委託する場合の委託先が登録支援機関に限られます。

どちらで採用すべきか:判断の流れ

2026年11月4日時点で、これから外国人を現場で雇う企業が選べる道は、特定技能1号と、経過措置の範囲での技能実習、2027年4月からの育成就労です。次の順に考えると整理しやすくなります。

制度を選ぶ5つの問い
  1. 1
    自社の業務は対象の分野・職種に入っているか特定技能1号は19分野(2026年9月29日時点。物流倉庫・資源循環は準備が整い次第開始予定)。技能実習は職種・作業ごと、育成就労は育成就労産業分野ごとに対象が決まる
  2. 2
    即戦力が要るか、育てる時間を取れるかすぐに業務を任せたいなら、試験に合格した人や技能実習2号を良好に修了した人を特定技能1号で採用する。未経験の人を3年かけて育てるなら育成就労(2027年4月から)が選択肢になる
  3. 3
    いつ受け入れを始めたいか技能実習で新たに始めるなら、2027年3月31日までの計画の認定の申請が要る。それより後は育成就労か特定技能になる
  4. 4
    何人受け入れたいか技能実習・育成就労は常勤職員の総数で枠が決まる。特定技能は原則として枠がないが、介護・建設には枠がある
  5. 5
    入社後の支援・監理を誰が担うか特定技能1号は自社で支援するか登録支援機関に委託する。技能実習は監理団体、育成就労は監理支援機関が関わる(単独型を除く)

国内にいる技能実習2号の修了予定者を特定技能1号で採用する方法もあります。在留資格の変更許可の申請は2号の実習中でもでき、修了後は許可を受けるまで働けません。入管庁も早めの準備を呼びかけています。

よくある誤解

特定技能でも、技能実習と同じく転職はできないのですか。
いいえ。特定技能は、同一の業務区分内や、試験で技能水準の共通性が確認されている業務区分間で転職できます。受け入れ機関や分野を変えるときは在留資格の変更許可の申請が必要です。
2027年4月になると、技能実習生はすぐに帰国しなければならないのですか。
いいえ。2027年4月1日時点で来日している技能実習生などは、原則として認定された計画に基づいて技能実習を続けられます。
育成就労が始まると、技能実習2号の修了者は特定技能に移れなくなりますか。
いいえ。運用開始後も当分の間は、技能実習2号を良好に修了し、業務と職種・作業に関連性があれば特定技能1号へ移行できます。
特定技能なら、何人でも受け入れられますか。
受け入れ機関ごとの人数枠は原則としてありませんが、介護と建設には枠があります。分野ごとの受入れ見込数を超えそうな場合は、在留資格認定証明書の交付が止まることもあります。

制度を決める前に自社で確かめること

特定技能か技能実習(育成就労)かを決める前のチェックリスト
  • 自社の業務が、特定技能の分野・業務区分、技能実習の職種・作業、育成就労の産業分野のどれに当たるかを確かめた
  • 即戦力として採用するか、3年かけて育てるかを決めた
  • 技能実習で新たに受け入れるなら、2027年3月31日までに計画の認定を申請できる日程か確かめた
  • 常勤職員の総数から、技能実習・育成就労の人数枠を計算した
  • 介護・建設の場合、特定技能の人数枠の数え方を確かめた
  • 特定技能1号の義務的支援を、自社で行うか登録支援機関に委託するかを決めた
  • 費用を、監理費・委託料・紹介の手数料など名目ごとに分け、1人あたりの合計で比べた
  • 取引中の監理団体が、監理支援機関の許可を申請しているかを確かめた
  • 特定技能で転職が起こりうる前提で、給与や相談の体制など定着のための準備をした

在留資格や特定技能については地方出入国在留管理官署とインフォメーションセンター、技能実習・育成就労については外国人技能実習機構が窓口です。自社の業務がどの分野・職種に当たるか、どの制度で受け入れるべきかなど、個別の判断は、行政書士・社会保険労務士などの専門家や、窓口に確かめてください。

特定技能で採用するなら

特定技能は、本人が職場を選べる制度です。そのため、求人の段階で仕事の内容や条件をきちんと伝え、選ばれる職場であることが採用と定着の両方に関わってきます。

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